INDIAN 401の製作にあたって:
AOSHIMAで以前発売されていた1/16 ACEを、INDIANに改造するという試みです。
1929年からのModel 402 は比較的よく目にしますが、401は滅多に見ることがありません。
なぜ402ではなく、そんなマイナーな401を作るのかといいますと、
フィッシュテールのエキパイを作るのも、
エンジン最下部のフィンを作るのも面倒だったから…
というひどい理由。
というのも製作を開始した2006年8月頃は、模型を作る時間が取れなくなってしまっていたので、
とりあえず何らかの完成品を見たいと思っていたのでした。
2週間程度で仕上げる予定で、安易にINDIANを選び、オーナーからACEのキットを送ってもらいました。

 フジミ1/15のゴールドウイングからタイヤのコンバートし、フレームやフェンダーをインディアンらしく修正したものの、
4気筒分のエンジンフィンを金属板で積層するつもりは最初からなく、
安直に完成させるつもりでした。
ところが、リーフスプリンガー・フォークを製作したあたりから、いつもの拘りモードに入れ替わっており、
新たに発売された0.7mm、1.0mmの真鍮製六角ボルトが手元にくると
結局は金属を多様したパーツ作りに没頭。
マグネトーの皮ベルトがよい感じに仕上がると、ペダルやレバー類はすべて可動式に…  
小さいけれど、なかなか素敵なINDIANが完成しました。


インディアン社とストレート4:
最近映画でも有名になったインディアン・モーターサイクル社は
1901年(明治34年)マサチューセッツ州スプリングフィールドに創立されました。
その2年後の1903年に創業されたハーレーとともに
アメリカを代表するバイクとして熾烈な争いをし、やがて1953年倒産した悲劇のバイクメーカーです。

1920年代、インディアンは
V型2気筒のSVエンジンを搭載、
排気量750ccのSCOUT(スカウト)と1,000ccのCHIEF(チーフ)の2モデルを擁し、高性能、高品質の代名詞を誇ります。
1916〜1920年にかけて、アメリカのバイクメーカーは200数社にも
膨れ上がりましたが、この頃になると弱小メーカーは多くが倒産、吸収され、
ビック4は「エキセルシャー」「ヘンダ−ソン」「ハーレ−・ダビットソン」「インディアン」に絞られます。

インディアンは他社との絶対優位を保つために、1927年その中の1社ACE社を買い取り、
製品ラインアップにあったストレートフォア(直列4気筒)モデルをINDIAN ACEとして発売しますが、
それは排気量1200cc、40馬力のACEモデルに、
小さめのタイヤとINDIAN REDの塗装をほどこしただけでした。
1928年には設計が見直され、リーフスプリング・フロントフォークが採用され、
それに合うフレームとタンク、そして大型フェンダーに形状が変更されます。
これが今回製作したModel 401です。
その後、1929年からのModel 402は、振動を抑えるためにツインダウンチューブが採用され、
エキパイの形状もフィッシュテールとなり、
エンジン内部にも変更がほどこされ、192Km/hという速度を記録して、最高のバイクと高く評価されます。
しかし、このストレートフォア・シリーズはあまりにも値段が高く、
多くは売れませんでした。

特に1929年(昭和4年)10月24日、ニューヨーク、ウォール街での株暴落から始まった世界恐慌は、
急激にバイク・マーケットを縮小させました。
この大恐慌で、200社もあったアメリカン・バイクメーカーは
警察や軍関係、政府との取り引きも多かったインディアンとハーレーだけになってしまいます。
そして1939年(昭和14年) 第二次世界大戦勃発。
ヨーロッパで戦火が起こり、2年後にアメリカにも飛び火する影響も大きく、
この年ついにインディアン・フォアは製造中止されます。

画像の大きさについて: 
このインディアンは1/16ですから全長僅か14センチに満たない小さなモデルです。
実物をご覧になったら驚くと思いますが、皆さんがお持ちの1/12モデル
よりも
遥かに小さい。
こんな大きな画像でお見せしているのは、その小ささの中にこれほど精密なパーツ
を自作し、組み込んでいくMADの超絶技術を、ぜひじっくりと見て戴きたいため
です。

初期の国内販売用パッケージ
輸出用パッケージ
説明書も英語バージョンのもの 
キットについて: 
このインディアンのベースキットはAOSHIMA(青島文化教材社)から発売された
1/16のクラシック・モーターサイクルシリーズの一つ「ACE」です。
このシリーズは「ハーレーダビッドソン」「ヘンダーソン」「エース」「ミリ
タイヤ」といういずれも1910年〜20年代のアメリカ車4種という不思議な車種
選定をしていて、 発売当時は驚きました。
まず
ハーレー以外は全く馴染みがないバイクばかりですし、しかも他は全て直立
4気筒(ヘンダーソンとACEは同じエンジン)なのです。
ミリタイヤなど日本で実車があるという話を聞いたこともありませんから、多分
アメリカからの持ち込み企画だったのではないでしょうか。日本で売るよりも、
主にアメリカでの販売を目論んだシリーズでしょう。
ハーレー以外は版権も消滅していますからね。
1/16でなく1/12だったらもう少し売れたでしょうし、クラシック・バイクとして
一つの分野を確立してくれたかも知れません。ちょっと残念ですね。

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